山車・建築関連用語集

川越祭りの話をする際に、日常的にはあまり使われない言葉、聞きなれない言葉が使われることが多く見受けられます。

ここでは、皆さまのお役に立てればと、そのような言葉を祭りの説明時などに使われる「川越祭り関連用語」、山車の説明などに使われる「山車・建築関連用語」に分け、簡単な解説を試みてみました。

※ ここでの解説は、旭町三丁目信綱會版であり、全国共通のものではありません(各地、各団体で異なった解釈、定義のもとに使用しておりますのでご注意ください)

※ 図中の番号は目次番号となっています。

※ 目次内の参照したい項目をクリックすることで、その項目に飛ぶことができます。

(あ)

漆:うるし

東洋のインク・ニス。川越祭りの山車では、黒をベースに、朱(しゅ)や木地呂(きじろ:やや褐色の入った透明)をポイントとして使用する。金箔などを使用する場合も、下地として漆が塗られる。色彩による装飾の意味合いのみではなく、防水、保護の役割もある。ただし、紫外線に弱い。

鬼板彫刻:おにいたちょうこく

瓦屋根における鬼瓦にあたる部分を鬼板といい、そこに入れられた彫刻を鬼板彫刻という。

(か)

飾り金具:かざりかなぐ

銅などを彫金し、金メッキなどを施した飾り。植物が成長する様をデザインしたものが多いが、雲形や紋章などもある。

上勾欄:かみこうらん

最上段につけられた欄干(らんかん)・手すり。川越祭りの山車では、エレベーター式機構でせり出すようになっている。

唐破風:からはふ

屋根の形式である破風の一種。中央部が凸型に盛り上がり、両端を凹型に下げた、反転曲線を持つ山形の破風を唐破風という。

瓦棒:かわらぼう

屋根の上に、斜面に沿って一定間隔で並べ、取り付けられた棒材。建築では、銅葺き(どうぶき)、トタン葺きなどの金属葺き屋根に用いることが多い。川越氷川神社の本殿では、千鳥破風及び唐破風向拝(こうはい:屋根のうち前方に飛び出した部分)にみられる。川越祭りの山車においては、唐破風にみられる。

木鼻:きはな

木端とも表記される。複数の縦柱を横に貫いている横柱、柱の上部を連結する頭貫(かしらぬき)、虹梁(こうりょう)などの端につけられた彫刻。轅(ながえ)をさすこともある。

擬宝珠:ぎぼし

勾欄(こうらん)の柱の上に設けられた飾り。龍神の頭から出てきた宝珠(ほうじゅ)を模したという説と、ネギが魔除けになることから葱坊主(ねぎぼうず)がもとであるとする説がある。

懸魚:げぎょ

破風の下にぶら下がるようについている飾り。火除けの意味があった。

化粧板:けしょういた

回り舞台の上下にある地紋彫り(じもんぼり)の部分。

化粧垂木:けしょうたるき

軒裏や化粧屋根裏などに用いられる装飾的な垂木。

勾欄:こうらん

欄干(らんかん)、手すりのついた部分。一番上の円筒状の横木を矛木(ほこぎ)、最下部で土台となる横木を地覆(じふく)、その中間にある横木を平桁(ひらけた)という。矛木の先がまっすぐなものを組勾欄、反り上がっているものを反り勾欄、隅あるいは端に擬宝珠(ぎぼし)柱を立てたものを擬宝珠勾欄という。

虹梁:こうりょう

梁(はり)の一種。

(さ)

四方幕:しほうまく

上段四方幕(じょうだんしほうまく)とも。前面、後面、左右側面の四方にある幕。

下勾欄:しもこうらん

最下部の勾欄(こうらん)。下部に彫刻の入った彫刻板を置くことが多い。

地紋彫り:じもんぼり

連続して並べることで地(面、平面スペース)を装飾する模様彫り。

車輪:しゃりん

木製の車輪に金輪をはめたものが使われる。

三味線胴:しゃみせんどう

三味線の胴部分のように丸みを帯びた、台輪(だいわ)と呼ばれる平たい横木。

せいご台:せいごだい

台座とも。山車の土台となる部分。

象鼻:ぞうはな、ぞうっぱな

木鼻(きばな)の一種。形状から象鼻と言われる。轅(ながえ)の先端の形が象鼻である場合は、轅自体のことを象鼻と呼ぶこともある。

(た)

台座:だいざ

せいご台のこと。

太平鰭:たいへいびれ

懸魚(げぎょ)の奥、虹梁(こうりょう)と唐破風(からはふ)の間部分をいう。

台輪:だいわ

建築物や家具などの指物で、上のものを支え、下のものをおおう役割をする平たい横木。例えば柱上にあって斗組(ますぐみ)を受ける盤。せいご台部分を指す場合もある。

中勾欄:ちゅうこうらん

上勾欄と下勾欄の間に位置するが、上勾欄が下ろされている状態では、ほぼ上勾欄と同じ高さになる。

(な)

轅:ながえ

もとは牛車本体と牛をつなぐ横木。現在は、山車のせいご台を貫き、山車を支えるとともに、曳き綱を結び付け、山車を牽引するための役割を担っている。台棒(だいぼう)、木鼻(きはな)、象鼻(ぞうばな、ぞうっぱな)などともいわれる。

帛:ぬさ

もともとは、神前に供える白い絹の幣帛(へいはく)をさしていた。川越祭りでは、山車の四方幕(しほうまく)の四隅に垂らされる紐飾りを帛と呼んでいる。この紐飾りの結び方を揚巻結び(あげまきむすび)というため、揚巻と呼ばれることもある。なお、天狐が振る、白木に紙垂(しで)をつけたものを大幣(おおぬさ、大麻と書く場合もある)という。

(は)

囃子台:はやしだい

囃子方(はやしかた)が祭り囃子を演じる舞台。

囃子台勾欄:はやしだいこうらん

囃子台を囲むように設けられた勾欄。

梁:はり

柱の上に水平に置き、上からの荷重を支える部材。

(ま)

斗組:ますぐみ

柱の上部で屋根などを支える組物。斗栱(ときょう)とも。

回り舞台:まわりぶたい

囃子台(はやしだい)を含む山車の上部を回転させ、他町会所(かいしょ)や他町の山車へ正面を向けられるようにした装置。

見送り幕:みおくりまく

中勾欄(ちゅうこうらん)と下勾欄(げこうらん)の間にあって、左右側面と後面の三方を覆う幕。山車が去った後に、見送るものに向けているので、見送り幕の名がある。

水引幕:みずひきまく

劇場で、舞台前面の上部に、間口いっぱいに張られた細長い幕。また、相撲では土俵の四本柱の上に張り渡された。山車では、囃子台上部に張った幕。

水龍:みずりゅう

棟(むね)の上、鬼板に乗るようにしてつけられた龍。龍は水神であり、山車や町を火災から守るよう祈りを込めて水龍の名がつけられている。

棟:むね

屋根の一番高い稜にある横木。

持ち送り:もちおくり

梁(はり)など水平部材や、庇(ひさし)・棚などの張り出しを支えるために、壁や柱などにつける補強材。山車では、せいご台の四隅につけられることが多い。

(や)

(ら)

欄間:らんま

天井と横木の間の開口部。採光や通風、装飾のためにつけられる。

(わ)

脇障子:わきしょうじ

縁を仕切る板戸や板壁。山車では、囃子台側面で後方を仕切る。つまり、山車の前面は囃子を奉ずる芸事の場、後方は神の降りる神域と区別される。