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松平信綱公にまつわるエピソード
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Episode
15 自然の理を知る
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信綱には合理的、科学的な考え方というエピソードが多くられます。丈の高い葦原などで方角が分からなくなったときに、太陽の位置で方角を割り出すという話などは幾度も語られています。実際に信綱は現代でいう科学的な知識を活用する名人した。
信綱の邸は、江戸城の北側、一橋御門の内にありましたが、ここの居間の前に水を満々と湛えた桶をいくつも置いておきました。これは信綱が考案した地震計です。
地震が起きた時、その強弱で水のこぼれ方が違います。そのこぼれ方を見て、急いで登城し対応するか、急ぐほどのものではないかを判断したといいます。
また、ある日、家光が
「明日は明け六つ(午前六時)から鷹狩りに行く。雨が降ったら延期とするからよく見定めておけ。」
と言い出しました。
夜も明けようとした頃、近習たちが天気を確かめると、雨の降りそうな降らなそうなどうにもはっきりしない様子です。困っているところに信綱がやってきました。事情を聞いた信綱は、縁側に出ると脇差を鞘ごと抜き取り、しばらく外気に触れさせました。その後、室内に戻ってその脇差を灯火に近づけ観察すると、鞘に空気中の水分が結露していました。この結果から信綱は、
「霧雨が降りだした、と申し上げよ。」
と、近習たちに告げました。
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