川越市旭町三丁目 信綱會

 
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松平信綱公にまつわるエピソード

 

Episode 13 実験をして判断する(その1)

 

 

 

 寛永十三(1636)年、江戸城総郭(そうぐるわ)の造営が始まりました。このころの江戸城は老朽化が進んでかなり傷んでいたのです。

この時、天守閣の白壁が風雨寒暖に剥がれ落ちているのだけれど、これらに強い練り土の工夫はないかと問われた信綱は、

「たぶん当年あたりに破損がはなはだしくなると思い、二十年前から練り土の工夫を調べて五品こしらえておいた。」

と、二十年前から晒しておいた練り土をしめし、この方法が採用されました。二十年前というのは信綱二十一歳にあたります。そのころから実験し、試していたのです。

 

 また、西の丸の奥にある紅葉山の仏殿の板壁が天露のためにすっかり傷んでしまっていました。この壁は赦土(しゃど)と呼ばれる酸化鉄を多く含む赤褐色の土で塗られていました。これを修復する際も信綱は、前もって他によいものがないか実験をしていました。コールタールを塗ったものが水をはじき、腐らないことが分かったのでこれを採用したところ、非常に長持ちしたとのことです。