川越市旭町三丁目 信綱會

 
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松平信綱公にまつわるエピソード

 

Episode 08 算学に強い算勘者

 

 

 

 江戸時代の初期は武士の中に武を尊び、事務仕事、特に金を数えるようなことを卑しむ風潮が強かったようです。そのため、数字・算術に弱いものが多く、数字に強いものを「算勘者」と呼びました。長四郎も算盤が達者な「算勘者」であったようです。

 ある夜、家光がいやに長い招縄(おきなわ:鷹を馴らすために脚につないでおく縄)を鞠のように巻いたものを持って小姓たちの前にあらわれ、戯れにこう命じました。

「この綱の長さがどれぐらいであるか、急いで測ってまいれ。」

 小姓たちは細工所に行って物差しなどを借り出し、あれこれと測ってみましたが、やけに長い縄なのでなかなか全長が割り出せません。そんな小姓たちに対して家光は面白がって急かします。 困りきった小姓たちのところに長四郎がやってきて、長さを割り出し方法を教えました。

 まず、縄から十尋(10ひろ=1518m)の長さを切り取り、秤でその重さを量ります。次に縄全体の重さを量り、十尋分の重さの何倍にあたるかを計算するというものでした。

 長四郎はこのような機転でよく家光の機嫌を直したため、周りからも頼られることが多かったといいます。