川越市旭町三丁目 信綱會

 
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松平信綱公にまつわるエピソード

 

Episode 06 竹千代の命を救う

 

 

 

 竹千代が七か八歳、長四郎が十五・六歳のころ。竹千代が鉄砲の稽古をしていると聞き、長四郎も鉄砲の稽古場である角場へ行ってみました。ただ、この時、長四郎は病からあけたばかりだったので見守るだけにしました。

 長四郎が見守る中、竹千代が火縄銃の火蓋をきり、引き金を引きました。しかし、火縄が途中で消えてしまい、弾は発射されません。竹千代はその鉄砲をかたわらに置きました。

 しばらくすると竹千代はその鉄砲のことなど忘れてしまい、銃口の先にからだを移しました。それを見た長四郎は、鉄砲に駆け寄るとそれを蹴り飛ばしました。その直後、鉄砲は轟音を立てて暴発したのです。火縄の先が火皿に触れたままになっていたため、再び火縄がくすぶりだしたとき火薬に火が移ったために弾が発射されたのです。

 これを見ていた守役の青山忠俊は、

「ただいまのふるまい、形容することばもないほどの忠節である。御家人は数万人ありといえども、とてもその方に及ぶものではない。いよいよ体調に気をつけて、長く忠功を尽くしなされ。まことに類なき人物だ。」

と、感動の涙を浮かべたといいます。