川越市旭町三丁目 信綱會

 
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松平信綱公にまつわるエピソード

 

Episode 04 子供の頃の恩を忘れない

 

 

 

十歳になった長四郎は竹千代(家光)付きの小姓として登用されることになりました。小姓は早番、遅番、宿直(とのい)をくり返します。

宿直の日の長四郎は、養父正綱に仕える葵という女性の持ってくる弁当を夜食とするのを常としていましたが、一度に食べきったことはありませんでした。長四郎はたとえ食事中でも、呼ばれれば御前へと走り、用がすんでから再び食事を続けるため、冬には飯が凍ってしまうこともありました。

それほど懸命の奉公を続けていたため倒れるように眠っていた長四郎をある夏の夜、家康のお使い番をしていた旗本の朝倉宣正が気付き、

「さてさて気の毒なことよ。これでは蚊に食われるぞ。」

と、蚊帳をつってあげました。

 その心配りに感謝した長四郎は、後々まで朝倉家の人々のことを心に懸けつづけたということです。