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松平信綱公にまつわるエピソード
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Episode
01 卵泥棒を懲らしめる
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信綱は幼名を亀千代といいました。
亀千代は四歳の頃から鶏の飼育を始め、鶏や卵を蛇やイタチから守るために小者を見張り番につけて大切にしていました。
しかし、ある時から卵の数が減ってきました。不審に思った亀千代が鶏小屋をうかがっていると、見張り番の小者が卵を盗み食いしていたのです。
「番人につけた者が盗み食いをするとは、不届きもひとしおだ。二度とこんなことを仕出かさぬよう、喉を痛めてやろう。首を括れ。」
命じられた者が見張り番の首に綱を巻くと、亀千代は、
「あまり強く締めては、息が絶えてしまう。卵の盗み食いをしたとがくらいで、人の命を奪うべきではない。死なない程度に括るべし。」
といい、縄が緩めばすぐ分かるよう結び目に封印をつけた。
翌日、亀千代は縄を解いてやりながら、
「かさねてこんな悪さを考えてはならぬぞ」
と盗人をさとした。四・五歳の子供とはいえ、すでに知恵伊豆の片鱗が見えています。
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